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「最後何か言った?」
俺が聞き返すとフィールは笑って、
「何でもありません。」
と言った。
「それにしても見事までの騙し勝ちですね。」
フィールがニヤニヤしながら聞いてくる。
「騙してねーよ。俺はルールに準じて行ったまでだ。」
俺はフィールにそう言ってやった。
「そんなことよりもだな!!何で宿がないんだよ!!」
俺たちはアレから2時間ぐらい歩いている。この世界では肉体が死んでいるので疲れというものが感じないのである。もしも、怪我などをしても元に戻るという、凄い世界だ。大抵のことはできてしまう世界か…。
「いいではないですか?たまには野宿をしても。」
「たまにって、俺はこっちに来てから初めての夜を外であかさなければこの現状が嫌だよ。」
こっちに来てから…。俺は未だに何も思い出せない。自分の名前が高坂功って言う名前もピンとこない。
この世界では自分は死んでいることになっている。しかし、僕にはそんな記憶などない。もしも、この世界は嘘で本当は最初から自分はここにいたってこともある。そんなもしもが僕の頭の中を駆け巡っている。
「そんな難しいことを考えても始まりませんよ。この世界では強者こそがこの世界をせいすのですから。」
「それもそうだ。」
俺はフィールの声で少し楽になれた気がする。だが…。
「宿場ぐらい考えないとな。」
枕などないので、石を枕代わりに使う。もちろん頭が痛いのである。テントぐらいあれば何だけど…。
「もう!!しょうがない人ですね。今日は特別に貸してあげます。」
「マジで?」
ってか何を貸してくれるのかは知らない…。
するとフィールはポーチからでかいものが出てきた。ピンクのテントである。
「本当に貸してくれるの?」
「はい。ただし…。」
…フィールと隣で寝ております。女の子と寝るなんてあったかどうか知らないけど…。寝れないよ!!
しょうがない。俺はスマホを取り出して、辞書を一通り見た。そんなこんなをしているうちに、いつの間にか眠っていた。
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