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壁にかかった時計がPM9:00を指した。
もう電話が鳴ることもほとんどない、この時間帯。
昼間は20人はいるこの部屋に今いるのは、私とかなり上の先輩の柳さんだけ。
柳さんは真剣にパソコンに向かって、何をしているんだろう。
シンと静まり返ったフロアに、柳さんが打つキーボードの音だけがカチャカチャと響いている。
仕事が定時に終われないのは私の能力が低いせい。
残業なんて情けないけど、明日の会議で使う資料だけは、今日中に作ってしまいたい。
やっぱりもう少し時間がかかるかな……。
とりあえずお腹もすいたし、飲み物でも買ってこよう。
こちらに顔を向けることもない柳さんを横目で見ながら、私はデスクを離れた。
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