1.理解不能な上司

2/12
6821人が本棚に入れています
本棚に追加
/777ページ
壁にかかった時計がPM9:00を指した。 もう電話が鳴ることもほとんどない、この時間帯。 昼間は20人はいるこの部屋に今いるのは、私とかなり上の先輩の柳さんだけ。 柳さんは真剣にパソコンに向かって、何をしているんだろう。 シンと静まり返ったフロアに、柳さんが打つキーボードの音だけがカチャカチャと響いている。 仕事が定時に終われないのは私の能力が低いせい。 残業なんて情けないけど、明日の会議で使う資料だけは、今日中に作ってしまいたい。 やっぱりもう少し時間がかかるかな……。 とりあえずお腹もすいたし、飲み物でも買ってこよう。 こちらに顔を向けることもない柳さんを横目で見ながら、私はデスクを離れた。
/777ページ

最初のコメントを投稿しよう!