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「だって夜は二人きりになれそうもないしなぁ……」
宮下さんは、シートベルトを締めようとしていた私の腕を掴んで、すっと引く。
私の体は引き寄せられ、
宮下さんの腕の中に閉じ込められた。
宮下さんの体温を体いっぱいで感じる。
温かい……。
「瑞希、あったかい」
「将弥さんもです」
胸に埋まっていた顔を上げて、宮下さんを見上げると、穏やかな表情が目の前いっぱいに広がる。
この瞬間がくるたび、何度も何度も
宮下さんが好きだってことを思い知らされる。
「……ホテルに行きたいのは本当だけど、
その前に、ちょっと行きたいところあるんだよね」
「え。どこですか?」
「うん。ちょっとね」
そういって宮下さんは、少し目を細める。
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