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「そんなに寂しいんだ?」
黙り込んでしまった私の顔を
ちょうど赤信号で車をとめた、宮下さんが覗き込む。
「うん……寂しいです。
本当にお世話になりっぱなしで……」
「ふーん」
宮下さんだって、たくさんお世話になっているはずなのに。
ちょっと不機嫌な表情で、気のない返事をする。
「……でもやっぱりムカツクな」
「え?」
ムカツクの意味がわからなくて、宮下さんの顔を見ると、
私の頬に宮下さんの手が触れたと思ったら、
甘くもない食らいつくような唇が、いきなり私の唇を攫って離れていく。
一体何にムカついているのか。
今のキスは、何なのか分からず首をかしげる。
ちょっと思い当たることと言えば……。
「もしかして、ヤキモチ……?」
私が呟くと、
「別に……」
ぶすっとしたまま、宮下さんは車を発進させた。
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