23.未来への階段

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ちらりとこっちを見た宮下さんと目が合って、 思わずにっこり笑ってしまったけど、 慌てて、握ったばかりの手を離した。 「片手運転はダメですよ。 ちゃんと両手でハンドルを握って、前を見て運転してください!」 一瞬の間があった後、宮下さんは楽しそうに声をあげて笑った。 「……さすが瑞希」 山道を通って、少し開けた駐車場で宮下さんは車をとめた。 あちこちに温泉宿の看板がでているから、ここは温泉街なんだと思う。 車を下りると、吐く息が白くなる。 雪が降ってもおかしくないくらいキーンと冷えた山の空気。 「温泉に入りたかったんですか?」 「温泉、ゆっくり入りたいね。 だけど、それはまた今度。 俺が行きたいのはこっち」 宮下さんは来たことがある場所なんだと思う。 私の手をとると、迷うことなく進んでいく。
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