6845人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、こんな自然の中に二人で来るのは初めてですよね」
「そうだっけ。たまにはいいかなと思って」
「そうですね」
舗装された道路から一歩山道へ入ると、
川のせせらぎが聞こえてくる。
紅葉はもう見ごろを過ぎていて、今は人の姿は見えないけど、
シーズン中はきっとすごくキレイで観光客もたくさんいるに違いない。
川に向かって下る道ができていて、
でこぼこしたその道を手をつないだまま
一歩一歩進んだ。
すごく静かで、私たちの足音と、
川を流れる水の音しか聞こえない。
「キレイなところですね。
癒されます」
「良かった」
少し広くなった眺めのいい岩場で、
宮下さんは足を止めた。
柵がついていて、景色を眺められるようになっている。
端まで進んで下を見ると、真下には深い青色の川が流れていた。
最初のコメントを投稿しよう!