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ふと目に入った岩のくぼみに水溜りができている。
「ね。将弥さん、あそこの岩のくぼみ、
もしかして、ハート型じゃないですか?」
それは、ぱっと見て分かるほど、
しっかりとしたハートの形が
岩の中にくっきりと浮き出ている。
「そうなんだ。
すごいベタだなとは思うんだけど……」
私のすぐ横に立った宮下さんの顔を見上げる。
なんだかいつもと違う堅い表情で、
宮下さんも私の瞳を覗きこんでいた。
宮下さんはこれ見せに
わざわざここまで連れてきてくれたんだ。
「子供の頃、ここに来たときから思ってたんだ……。
俺もここでしようって」
「……何を?」
宮下さんは、ゆっくりとした動作で
上着のポケットから小さな四角い箱を取り出した。
箱を見ただけで、トクンと心臓が音を立てた。
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