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「なんか、夢を見てるみたい……」
だけど、これは夢じゃなくて、
宮下さんはちゃんと温かくて、
確かにここにいる。
「実は、私、結婚なんて恐れ多くて、
まだまだ遠いことだと思っていたんです。
今は離れ離れだし、将弥さんも私も今は仕事を頑張る時だと思っていたから」
「そうだろうなとは思ってた。
仕事のこともあるし、断られることも考えてなかったわけじゃない」
温かい胸の中で、宮下さんの低い声が体に響くように聞こえる。
「だけど……さっきからずっと心臓がドキドキ鳴りっぱなしです。
嬉しすぎて、このまま背中に羽が生えて飛んでいけそう」
宮下さんの腕も私の体に回り、
ギュッと抱き締められる圧迫感が心地いい。
「実はさ、ここ、親父が母親にプロポーズした場所なんだってさ」
「えっ。本当に?」
私は宮下さんの胸から顔を離し、周りをぐるりと見回す。
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