23.未来への階段

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「なんか、夢を見てるみたい……」 だけど、これは夢じゃなくて、 宮下さんはちゃんと温かくて、 確かにここにいる。 「実は、私、結婚なんて恐れ多くて、 まだまだ遠いことだと思っていたんです。 今は離れ離れだし、将弥さんも私も今は仕事を頑張る時だと思っていたから」 「そうだろうなとは思ってた。 仕事のこともあるし、断られることも考えてなかったわけじゃない」 温かい胸の中で、宮下さんの低い声が体に響くように聞こえる。 「だけど……さっきからずっと心臓がドキドキ鳴りっぱなしです。 嬉しすぎて、このまま背中に羽が生えて飛んでいけそう」 宮下さんの腕も私の体に回り、 ギュッと抱き締められる圧迫感が心地いい。 「実はさ、ここ、親父が母親にプロポーズした場所なんだってさ」 「えっ。本当に?」 私は宮下さんの胸から顔を離し、周りをぐるりと見回す。
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