298人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーあ、キレちまったぜ。どーするよ。これで情報を得る術が無くなった」
「放っておけば、向こうから勝手にコンタクトを取ってくるさ。じゃないと俺たちを捕まえた意味がない」
ふうん、と高広は返事して、
「んじゃさー、元秘密工作員さんともあろうお方が、どうしてむざむざ捕まったわけ」
龍一は気に入らなさそうに目線をくれると、
「そういう、自称天才さまは、どうして捕まったんだ」
逆に問い返した。
高広は、
「おりゃー、タバコ買いに出たところを、タコ殴りよ。野蛮人はイヤだね」
痣になっているだろう、首の後ろを示す。
「そういうお宅は、その辺の野蛮人が束になっても敵わねーご仁だろーがよ」
鬼の霍乱か、とニヒヒと笑う。
龍一は、
「美百合からの伝言だと、女が近づいてきて、腹にスタンガンを食らった」
「よくスタンガンだってわかったな」
食らった衝撃が強烈なスタンガンなら、自分が何をされたか気づく前に意識を失ってしまう。
龍一はふんと鼻を鳴らした。
「鼻の奥がきな臭い。ずいぶんな出力だ」
「はーん、俺なら死んでんな」
体の内側が焦げるほどの電撃を食らったということだろう。
それでいて今、平気な顔をして立っているのだから、やはり普通の人間じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!