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シャツで映像が遮られたカメラからは、声だけが届く。
使いに出した男の悲鳴。
それから手錠で拘束したはずのふたりの声。
「こいつに人質の価値なんかあるんかねぇ」
「無ければ無いでいい。次の策が見つかるまでの、いい暇つぶしになる」
「俺にゃー人を拷問する趣味なんてないんだけど」
「心配するな、俺にはある」
それから続くのは、男の悲鳴、悲鳴、悲鳴。
「助けてくれ……、ああっ――、ああーっ!」
時折、苦痛を訴える呻きの中に、喘ぎのような艶やかさが混ざるのは気のせいだろうか。
男は、ふたりに何をされているのだろう。
もともと嗜虐趣味のある女は、ひどく興味をそそられた。
誰かを使いに出して、カメラを開放するかと考えたが、先に送った男の二の舞になるのは目に見えている。
「しかたないわね」
女は席を立って歩き出した。
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