気だるい入学式

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~☆☆☆~ だるい。 それが私、水無月ココアの高校生活最初に思ったことだった。春とは思えないほどさんさんと輝く太陽に恨みすら覚えるくらいだ。 これが雨だったらどうなんだろう…… わけのわからないことを考えながら私は学校までの道のりを歩いていた。自分でも言うのは何だけれど、大きい自宅から歩いていると周りに見える景色がとても小さく見えた。どこかのミニチュアかと思うくらいに。 その中では人形のように人が住んでいて、そして当然のように日々の日課を過ごしているのだろう。 そんなことをして楽しいのだろうか? どうせ高校を出て、大学にいって……働いて……女である私はどこか知らない男のもとに嫁いで人生を終えていくんだ。まるで今さっき言ったように人形ともいえるその人生を私はどう思う? そりゃ、快くは思えない。だからと言って行動するのはもっとだるい。 省エネで生きる、これが私の目標。めんどくさいことからは逃げる。 というわけで、私は入学式の時間を忘れたフリをしてわき道にそれた。 太陽からの光が忌々しかったので、そのまま木陰のある山の中へと足を運ぶ。 どこまでも上っていくと、一つ大きな丘の上に出た。野原が広がっており、さらにそこには大きな木が何本かあった。 その中でもひとつだけ大きく伸びているそれを見上げる。 私の身長とは似ても似つかないその姿に私は感銘を受けた。 すごいもんだ。よくここまで育つもんだな。 「はぁ……」 私は何様だよ。 自分で自分に突っ込む。 そっと木の根の上に寝転がってみる。非常に心地よい。こんな感じで今日も終わるのかなぁ。つまらない人生だ。 「つまらない人生……か」 何を選び、何をあきらめ、今の人生にしているのかは今の私自身が決めていることである。 それを勝手に決めているなんて…… 「何様のつもりなんだろう」 二度目の文句に、私は答えも考えずただただ青く光る空だけを見上げていた。 今の私は一人、何をしているのだろうか。遠くでチャイムの音が鳴るのを聞いて、それを合図に私自身は夢の中へと落ちて行った。 入学式に出席する。 これを選び取るのか、あきらめるのか。 目を閉じた時点でその答えは決まっている。これであっているのか…… 私は瞼の裏にいる自分自身に問いかけてみる。 はぁ、早く高校生活終わらないかなぁ…… 高校卒業と共に働き、そして生きていこう。
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