第1話 今日でおしまい

3/11
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
 その日も会社に戻った頃には規定の退社時刻をとうに過ぎていた。  今日も遅くなりそうだ。佐藤さんは買ってきたお茶を飲んで一息ついた。  その時だ。ふいに佐藤さんの携帯電話が鳴った。  画面を見ると、見覚えのない電話番号が表示されていた。  それは別に珍しいことではない。  顧客の電話番号はすべて携帯電話に登録してはいるが、時折違う番号からかかってくることもある。  この時間にかかってくるということは、まず間違いなく苦情の類だろう。  薬が足りなかったのだろうか。それとも間違えた?いずれにしても面倒なことでなければいいが・・・。  そう考えながら通話ボタンをタップする。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!