第1章

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彼はいつものような生真面目な顔でひとつ頷くと入れてくれた。 「あまひげが売っているらしい」 開口一番でそう告げると 「我々は、なんとしてでもそのトウモロコシを手に入れなければならない」 と、いつもは無口な彼はやや熱のこもった声でそう言った。 結局昨日の番組ではあまひげが「朝から売っている」ということしか掴めなかった。それから話に熱と酒が入った結果、私はOの家で寝てしまった。起きた時にはOの姿は見えなかったが、彼がどこにいるのかはすぐに分かった。 「まずいことになった」 それは私がOからの着信で目が覚めたからである。時計の針は6時を指すところであった。間違ってはいけないのは、今が夕方では無く早朝の6時だということである。 「早く来てくれ。このままだと通報される。」 かくして。場所は近くの繁華街。昨日アナウンサーが歩いていた商店街である。
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