第一章 魔王と勇者

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「勇者よ」 魔王は勇気を持って申し出た。 「次にプレイヤーが動いた時、わたしを倒してくれ」 突然の魔王の言葉に 「いきなり、何言ってるわけ?」 「いつまでもこのままいたいが、それはかなわんじゃろ」 「ちょっと、いきなり深刻な話やめてよね」 女拳闘士が言うが、魔王はあきらめたように細く喋った。 「勇者よ、最後はそなたの手で終わらせてくれ」 「魔王」 言って、勇者は剣をブンと投げた。 「勇者! 何をする!」 「酒飲んでる時に辛気くさい話しすんなって言ったよな。それに俺らはプレイヤーの駒なんだよ。自分で最後選べねぇしな」 「案外、魔王あなたが勝つかもしれませんよ」 魔法使いが微笑みながら言う。 魔王は込み上げてくる感情のまま、泣き出した。 「勇者よ! その仲間達よ! なんてお前達は気持ちの大きな器の持ち主なんじゃ」 「だから、プレイヤー次第なんだから、魔王泣くなよなぁ」 「面倒くさいだけなんですよ。プレイヤーは。何か別の楽しみ方で私達を翻弄してるんですよ」 「魔法使いいいこという!」 「すべてはプレイヤー次第よ」 女拳闘士はレッドドラゴンの肉を食べながら、笑いかける。 「魔王も気長に待ってなよ、ね」 魔王の心はもう言葉にすることのできないほど、感激して、ダーと涙を流しながら、うんうんと頷いた。 ラスボスがこれでいいのか、作者のツッコミは無視された。
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