93人が本棚に入れています
本棚に追加
「勇者、持ってきたぞ」
言って、魔王が戻ると不機嫌な勇者がそこにはいた。
「遅ぇし、魔王」
みるとあらかたの酒瓶は空になっており、飲むものがなくなり不機嫌になったらしい……。
どこまでも自分勝手な奴じゃな、勇者。
とは言えず魔王は持ってきた、酒瓶をまた並べる。
「もうワインくらいしか残ってないわ。我慢してくれのぉ」
「あぁ? なんであんだけ広い酒蔵持ってるのに、ワインだけが多いんだよ。お前、魔王だろうが!」
「貯蔵に楽だからじゃ。それに樽で保管できるからのぅ」
「馬鹿! じゃ樽ごと持ってこいよ」
馬鹿と言われたことにもさほど怒らず、魔王は素直に謝った。
「樽ごとは、わたしには無理じゃ。力ないし」
「じゃ、次は俺が行くからな」
「頼めるかのぅ」
「まかせておけ」
言って、vサインをする勇者に魔王はさすが勇者だと感心していた。
するなよと作者のッコミは軽く無視される。
その時、タラララと音楽が鳴って、魔王と勇者は共に驚いた。
「勇者よ」
「魔王」
「プレイヤーが」
『やる気になった!』
ふたりの二重奏が玉座間に響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!