第一章 魔王と勇者

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「勇者、持ってきたぞ」 言って、魔王が戻ると不機嫌な勇者がそこにはいた。 「遅ぇし、魔王」 みるとあらかたの酒瓶は空になっており、飲むものがなくなり不機嫌になったらしい……。 どこまでも自分勝手な奴じゃな、勇者。 とは言えず魔王は持ってきた、酒瓶をまた並べる。 「もうワインくらいしか残ってないわ。我慢してくれのぉ」 「あぁ? なんであんだけ広い酒蔵持ってるのに、ワインだけが多いんだよ。お前、魔王だろうが!」 「貯蔵に楽だからじゃ。それに樽で保管できるからのぅ」 「馬鹿! じゃ樽ごと持ってこいよ」 馬鹿と言われたことにもさほど怒らず、魔王は素直に謝った。 「樽ごとは、わたしには無理じゃ。力ないし」 「じゃ、次は俺が行くからな」 「頼めるかのぅ」 「まかせておけ」 言って、vサインをする勇者に魔王はさすが勇者だと感心していた。 するなよと作者のッコミは軽く無視される。 その時、タラララと音楽が鳴って、魔王と勇者は共に驚いた。 「勇者よ」 「魔王」 「プレイヤーが」 『やる気になった!』 ふたりの二重奏が玉座間に響き渡った。
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