第一章 魔王と勇者

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『ついにこの日がきた!』 魔王と勇者は抱き合うなり、急いで酒瓶を片付け、魔王は玉座へ。 勇者は剣を取って構えた。 が、ここで予想外のことが起きた。 「うぉ仲間がいねぇ! ヤバい!」 「ギャー! レッドドラゴンの反逆って、勇者倒さなかったのかい!」 あたふたと二人慌てるさまは愉快そのものである。 「レッドドラゴンはなんとかするから、お前の魔法で仲間を呼び寄せてくれ!」 勇者の言葉に魔王は 「ラジャー勇者」 言って、転移送の呪文を唱える。 「魔王、それ呪文間違ってるし、うぉコイツ火吹きやがった」 「すまぬ勇者慌ててしまった」 言って、今度は正しい呪文を唱えた。 床に魔方陣が輝き、煙と共に勇者の仲間が現れる。 「いきなりひとを呼びつけるとは誰です」 魔法使いの形相にビビりまくり、魔王は勇者を指す。 「勇者あなたですかって、何してるんですか?」 「見ればわかるだろう戦闘中、うりょあ」 勇者は見事にレッドドラゴンを倒すと、手短に仲間達に説明した。 『プレイヤーがやる気になったの!』 誰もが絶叫、そして面倒くさいの言葉。 しかし、ここでまた予想外のことが起きた。 『プレイヤーが内容を保存した』 急に魔王に魔法で強制連行のごとく、呼びただされた仲間達は青筋をたてて、怒っていた。 『プレイヤー殺す!』 「まてまて勇者一行よ。それ無理じゃから」 「誰よ、あんた!」 女拳闘士に指をさされ、魔王は一応名乗った。 「魔王じゃ。よろしゅう」 「これが魔王ですか? 今の勇者なら瞬殺でしょうに……」 仲間達の見解は同じで、魔王は威厳もなくしゅんとする。 「あぁ、お前ら魔王イジメテんじゃねぇよ。コイツいい奴なんだからよぉ」 「勇者よ。フォローすまぬのぅ」 「何よ、その連携」 「仕方がねぇだろ。すべてはプレイヤー次第なんだからよぉ」 勇者の言葉に魔法使いは冷静にそれもそうですね。と言いながら、床に転がっている酒瓶をみて溜め息をついた。
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