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すると、いきなり背後から、
「俺が断ろうか」
龍一の声がした。
そこに誰かいるとは思っていなかったので、エリカは飛び上がるほど驚く。
「なによ、いつからいたの」
エリカが聞けば、
「俺はお前の黒服だ。側にいるのが当たり前だろ」
至極当然と龍一は言う。
「びっくりするのよ。黙って後ろに立たないで」
龍一は困ったように少し首をすくめる。
でも、龍一に八つ当たりしたことで、少しエリカの気も晴れた。
鬱屈は、小出しに発散するに限る。
エリカは、
「大丈夫、これもお仕事だから。あの客の財布、空にする気概で行ってくるわ」
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