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タイミングよく放たれた、その威力抜群の微笑みに、席にいた者全員が、つい龍一に見惚れてしまった。
外国人の客たちだけでなく、龍一の顔など見慣れているはずのアザミまでもが、うっすら頬を赤らめる。
向かうところ敵なしの微笑みである。
それに惑わされかけた外国人が、頭を振ってアザミに尋ねた。
「He is whom?(彼は誰?)」
「I am doing her management.(私は彼女のマネージャーです)」
アザミではなく、龍一が英語で外国人に返事をした。
その発音はまるでネイティブだし、態度も堂々としている。
龍一はまるで日本人じゃないみたいだ。
「My permission is required if you want her.(彼女への契約は、私を通していただきたい)」
龍一はきっぱり言うと、エリカの腕を取って、さっと席を立った。
「何なの。全然わかんないんだけど」
エリカが引きずられながら言うと、龍一は、
「知らなくていい。どうでもいい話だ」
教えてくれなかった。
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