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たとえば今回の芝居の件に関して、高広が脅したりなだめたりしてアキラを説得したとしても、きっとアキラひとりでは、他のメンバーを従わせることは出来なかっただろう。
メンバーの中でも最年少のアキラの言葉に、素直にみなが従うとは思えない。
だけど最初から、仲間面してメンバーの中に潜り込んでいた政府の秘密工作員が、現場でアキラの言葉に賛同するよう誘導したとすれば、
――それは可能になる。
そしてこの芝居をうったお陰で、
『ひとりの人間も殺さない』
という、今回の事件で一番困難なミッションが果たされた。
これは佐々部組に潜入することを命じられた龍一の、
『唯一絶対の条件』
で、この条件をクリアするためだけに、高広はこの事件に巻き込まれたのだ。
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