10/12
149人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
たとえば今回の芝居の件に関して、高広が脅したりなだめたりしてアキラを説得したとしても、きっとアキラひとりでは、他のメンバーを従わせることは出来なかっただろう。 メンバーの中でも最年少のアキラの言葉に、素直にみなが従うとは思えない。 だけど最初から、仲間面してメンバーの中に潜り込んでいた政府の秘密工作員が、現場でアキラの言葉に賛同するよう誘導したとすれば、 ――それは可能になる。 そしてこの芝居をうったお陰で、 『ひとりの人間も殺さない』 という、今回の事件で一番困難なミッションが果たされた。 これは佐々部組に潜入することを命じられた龍一の、 『唯一絶対の条件』 で、この条件をクリアするためだけに、高広はこの事件に巻き込まれたのだ。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!