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「う~~~ん! 気持ちいいー!」
うっすら水色の空に、突き出した両腕をそのまま肩でグルグル回しながら、腰を捻って軽くストレッチした。
早朝の澄んだ空気と小鳥のさえずり。
小高い丘から見慣れている町を一望する。
昨夜、翻訳の仕事をしていたら急にヒラメキが降ってきてしまった。
仕事を一時中断して、自分の書き溜めている作品ファイルを開き、もどかしい気持ちでキーを叩く。
カチャカチャッ!
焦りすぎを笑う様に静かな部屋にやけに大きく聴こえるキーの音。
『新作 七月○日AM一時』と、タイトルをつけてヒラメキが消えないうちに入力を始める。
そのヒラメキは大概深夜に降ってくる事が多くて、そうなるともう、睡眠を取ることも忘れ、ひたすら降ってきたものが消えないうちに脳からパソコンへデータを移動させる。
「おお! 俺って天才!」
途中、あまりの素晴らしい出来にしばし感動したりして。
「……よしっ! やった! 出来た!」
荒削りながらも、どうにかこうにか一本の小説を完結までこぎつけた俺は、最後の上書き保存を慎重に行い、ちゃんと保存が出来ているか心配で、念には念を。と、もう一度上書き保存をして、座椅子からズルズルと体をずらし、畳の上に寝そべった。
「んーーーー! はぁ~~~」
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