第一章 プロローグ

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 大作を書き終え、アドレナリン出まくりでとても眠れそうになかった俺は、早朝の散歩に出かけたというわけ。 「うにゃあん?」 「あれ?」  神社の前の石畳までたどり着いた途端、猫の鳴き声。  振り向くと、草むらから覗く黒っぽい尻尾。  ……って、うちの子じゃん!  偶然の出会いと言うべきか? ここら辺は東京と言っても田舎だから、山もあれば、空き地も畑もある。どの家の猫も、家の中と外を好き勝手に出入りして、半分野生と言うか……とっても自由に生活をしているんだよね。  酷い時には朝ご飯を食べたら、翌朝まで姿を見かけない。なんて時もある。その自由気ままなうちの猫ちゃんが、声を掛けると足に擦り寄ってきた。 「ミーコ、夜通し遊んでたの?」 「ゴロゴロゴロ……」 「ばーちゃんが心配してたぞ? ちっとも帰ってこないって!」 「ゴロゴロゴロ……」  まったく不良娘だ。  よく見ると、ヒゲにおもいっきり蜘蛛の巣が絡まっている。  いつも思うけど、そんなにくっつけて気持ち悪くないのだろうか?   ヒゲってアンテナの役割をはたしてるんじゃないの? とにかくこいつってば体毛が黒いから汚れが目立たないだけだな。一度洗ってやらなきゃ。 「ふにゃ!」 「だーめ! 一度帰るよ! 腹減ってないの?」 「にゃあぁ~」 「にゃあじゃないの!」  足にスリスリしているミーコを捕まえ抱きかかえると、途端に不満そうな鳴き声を発する。  朝露に濡れた身体。前足と後ろ足を腕の中で思い切り突っぱね、降ろしてくれと抵抗を見せるミーコ。 「ふっふっふ……残念でした」 「うにゃ」  恨めしそうな目で俺を睨みつけると、今度は諦めたようにジッと動かなくなった。  おや? 抵抗はもう終わり?   いつもこうだったら可愛いのにね~?
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