Ⅰ.

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目当ての屋台を全てまわり終え、ギルは今、適当なベンチに座って さっき買ってきた食べ物をほとんど平らげていた。 30種類以上有った内今残っているのは、焼きそば一つとクッキー1袋のみである。 「やっぱ祭に出てる食べ物は良いな♪」 モグモグ モグモグ モグモグ 「ギル君?そんなに一気に食べたらアルディリアの頬袋みたいになっちゃいますよ」 右横から覗き込むようにして声をかけてきたのはギルのよく知っている人物だった。 「ふぃなはん」 ミナ・レクス・セイントリア ほんわりとした暖かいオーラが出ている美人天使。 因みにギルの父、クロノアの使い魔である。 「ほら、ちゃんと飲み込んでからね」 モグモキュゴックン 「ミナさんこんな時間に買い出しですか?」 祭時といえど、この人はいつもの場所へ働きにいったはずなのだが。 「ちょっと買い忘れがあったのを思い出しましてね。今お店に戻るところですよ」 両手に下げていた重そうな買い物袋をギルに見える高さに持ち上げて見せる。 「そうなんだ。よかったら手伝いましょうか?(あいつの店に行くのは嫌だけど)」 「あら、ありがとう。お言葉に甘えて片方持ってもらおうかな」 …袋は見た目のそれ以上に重かった。 破れないのが不思議なくらいに……。
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