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あの後ギルは面倒くさいので魔法で手早く祭へ出かける準備を済ませ、自分の部屋から出てリビングへ向かう。
「さっさと朝飯食って行かなきゃな…」
ぶつくさ言いながらリビングに入ったが、そこにいつも居るはずの母がいないことに気付く。
「あれ?親父、母さんはいないの?」
「ん、マロンなら祭に出かけて行ったが?」
ギルの質問にキッチンで返答した父。
「マジ!?なぁ、親父…もちろん朝ご飯はあるよな?」
ちょっと危険な予感がしたので恐る恐る聞いてみたのだが…
「無いから今作ってるとこだよ♪もうちょっとしたら出来るから」
危険な予感が当たってしまったらしい。
「俺待てないから祭の出店でなんとかするわ…」
そう言って父の返事を待たずにリビングを出て玄関へ早歩きで行ってしまう。
実を言うとギルの父は料理がとてつもなく下手で、父が作った料理は本人と妻、マロン以外食べられないのだ。
何故かというと、見た目はごく普通の料理なのだが…味が尋常ではないのだ。
とにかく、口に入れると飲み込む事すら困難で、そんなモノを食べていたら今日は祭どころではなくなるのでギルは急ぐ。
「ん?ギルくんいってらっしゃい」
父は今更ギルがリビングにいないことに気付き玄関の方へ大声で言っていた。
ギルはその時家を出ようとしていたところだったが、返事はしない。
相当父が嫌いみたいだ。
「さて、まずは何するかな」
家を出て出店が出ている通りまで来たのはいいのだが人が多すぎて近づかないとどれが何を出しているのかさっぱりわからなかった。
そのままどうするか考えていたが、とりあえず一番近い出店に行ってみることにした。
「お♪焼きそばじゃん。お姉さん二つちょうだい♪」
「やぁねぇ、ギル君ったら私はもうおばさんだっていつも言ってるのに……うふっ♪サービスで量を増やしといたからね。二つで200リルだよ」
この店を出していたのはギルの知り合いのおばさんだったため、サービスをしてくれた。
「いつもありがとう。それと、お姉さんは充分美人だと思うぜ」
200リルちょうどをおばさんに渡し、頼んだ焼きそば二つを受け取り、さりげなく言い残してみたが…事実を言ったのだから問題はないだろう。
「次は……!?」
次の出店を見たギルは凄く驚き、そして喜んでいた。
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