第1章

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「あの、……また、その、 ……トトに会いに来ていいですか?」 「……LINE」 「え?」   首を傾げてちょっと考えた篠原さんが、口を開く。 「……使ってる?」 「はい」 「……俺、追加されてる?」 「はい。番号、教えてもらったので」 「……なら、そっち、使って。 俺、話すの苦手で。 携帯だと、無言電話になる、から。 メールとかもダメ、だけど、 あれ、だと、既読がつく、から」 「はい」   いままでで一番長く話した篠原さんは、 そういうと困ったみたいに笑った。 ……そっか。 この間電話のとき、怪しんでたわけじゃないんだ。 いろいろ聞いて答えてくれなかったのもきっと、 不快だったんじゃなくて。 そう思うとなんだかおかしくて、笑いが漏れる。 くすくすと笑う私を、 トトと篠原さんが同じ顔して不思議そうに見てた。
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