69人が本棚に入れています
本棚に追加
それから毎週、トトに会いに行った。
……ううん。
トトは口実で、篠原さんに会いに。
迷惑じゃないかな、って思ったけど篠原さんは嫌な顔しない。
LINEで連絡して、既読がついたときはOKってこと。
返信がある日はダメなとき。
友達とのやり取りで
既読スルーされたら嫌な気分になったりするけど、
篠原さんだったらそんなことはない。
反対に、見てくれたんだって嬉しくなる。
トトと遊びながら、私はひとりで喋ってる。
家のこと、学校のこと。
篠原さんはいつも、黙って私の話を聞いてくれた。
優しくて、ずっとこうしていたいって思う時間。
私はどんどん篠原さんに惹かれていたし、
もっと知りたいって思った。
……けれど。
篠原さんはいつも無言で、
必要なこと以外なにも話してくれない。
苦手、なのはわかる。
けど、少しくらい。
「……ふうちゃん。トトの世話、頼んでいい?」
篠原さんちに通い始めて一月くらいたって。
その日突然、そんなことをいわれた。
……あ、ふうっていうのは私のあだ名。
最初のコメントを投稿しよう!