第2章

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それから毎週、トトに会いに行った。 ……ううん。 トトは口実で、篠原さんに会いに。 迷惑じゃないかな、って思ったけど篠原さんは嫌な顔しない。 LINEで連絡して、既読がついたときはOKってこと。 返信がある日はダメなとき。 友達とのやり取りで 既読スルーされたら嫌な気分になったりするけど、 篠原さんだったらそんなことはない。 反対に、見てくれたんだって嬉しくなる。 トトと遊びながら、私はひとりで喋ってる。 家のこと、学校のこと。 篠原さんはいつも、黙って私の話を聞いてくれた。 優しくて、ずっとこうしていたいって思う時間。 私はどんどん篠原さんに惹かれていたし、 もっと知りたいって思った。 ……けれど。 篠原さんはいつも無言で、 必要なこと以外なにも話してくれない。 苦手、なのはわかる。 けど、少しくらい。 「……ふうちゃん。トトの世話、頼んでいい?」   篠原さんちに通い始めて一月くらいたって。 その日突然、そんなことをいわれた。 ……あ、ふうっていうのは私のあだ名。
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