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猫が治療を受けてる間、その人はどこかに電話を掛けていた。
「……はい。すみません。
今日は、これで。
……はい。……はい。
……わかり、ました」
……時間的にも、お仕事途中、だよね?
大丈夫、なのかな?
ぼんやりとそんなことを考える。
通話をおえると、病院で借りたタオルであたまを拭きながら、
私の隣に腰を下ろした。
チッ、チッ、と時計が時を刻む音と、
外の雨音だけが静かな待合室に響く。
もうずいぶん時間がたった気がする。
猫はどうなんだろ?
まさか、死んだ、とか。
私がぐずぐずしてたから。
悲しくなって俯いた。
……どうしよう。泣きそう。
「……」
ぽんぽん。
私のあたまの上に、優しい感触。
思わず見上げると、その人はまっすぐに前を見つめてた。
……もしかして、慰めてくれた、とか?
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