第1章

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猫が治療を受けてる間、その人はどこかに電話を掛けていた。 「……はい。すみません。 今日は、これで。 ……はい。……はい。 ……わかり、ました」   ……時間的にも、お仕事途中、だよね? 大丈夫、なのかな? ぼんやりとそんなことを考える。 通話をおえると、病院で借りたタオルであたまを拭きながら、 私の隣に腰を下ろした。 チッ、チッ、と時計が時を刻む音と、 外の雨音だけが静かな待合室に響く。 もうずいぶん時間がたった気がする。 猫はどうなんだろ? まさか、死んだ、とか。 私がぐずぐずしてたから。 悲しくなって俯いた。 ……どうしよう。泣きそう。 「……」   ぽんぽん。 私のあたまの上に、優しい感触。 思わず見上げると、その人はまっすぐに前を見つめてた。 ……もしかして、慰めてくれた、とか?
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