第1章

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そのあとすぐに獣医さんに呼ばれた。 猫は雨で衰弱はしているものの、 怪我は後ろ足の骨折だけでさほどたいしたことはないらしい。 「よかっ、た……」   ほっと、詰まっていた息を吐き出す。 でも同時に、困ったことに気が付いた。 「うち、ペット禁止で……。 飼ってくれる人が見つかるまでだけでも 面倒みてあげたいけど、お母さん、猫アレルギーで」 「……俺が」   言葉短くそういうと、その人はそっと猫のあたまを撫でた。 その顔は凄く優しくて……なぜかドキドキした。   会計の段階になって、その人は結構な額を全部払ってくれた。 「あ、あの。あとで半分、払います」 「……高校生、だから」   ……えっと。どういう、意味? 「見つけたの、私だし。 病院に連れてきてもらったのも、 預かってくれるのも感謝してます。 これ以上、迷惑掛けられないし。 お母さんに事情を話したら、大丈夫だと思うから」 「……別に、いい」
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