69人が本棚に入れています
本棚に追加
そのあとすぐに獣医さんに呼ばれた。
猫は雨で衰弱はしているものの、
怪我は後ろ足の骨折だけでさほどたいしたことはないらしい。
「よかっ、た……」
ほっと、詰まっていた息を吐き出す。
でも同時に、困ったことに気が付いた。
「うち、ペット禁止で……。
飼ってくれる人が見つかるまでだけでも
面倒みてあげたいけど、お母さん、猫アレルギーで」
「……俺が」
言葉短くそういうと、その人はそっと猫のあたまを撫でた。
その顔は凄く優しくて……なぜかドキドキした。
会計の段階になって、その人は結構な額を全部払ってくれた。
「あ、あの。あとで半分、払います」
「……高校生、だから」
……えっと。どういう、意味?
「見つけたの、私だし。
病院に連れてきてもらったのも、
預かってくれるのも感謝してます。
これ以上、迷惑掛けられないし。
お母さんに事情を話したら、大丈夫だと思うから」
「……別に、いい」
最初のコメントを投稿しよう!