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振り返ったその人の首が、不思議そうに傾く。
自分でも、なんで呼び止めたのかわからない。
「その、……猫、会いに行ってもいいですか?」
じっと見つめる、茶色がちなまっすぐな瞳。
なぜか、きれいな目だなとか思ってた。
「……連絡先。土日は休み」
ポケットから出したなにかにペンを走らせると、
その人はそれを私に差し出してきた。
受け取るとそれは、名刺だった。
「わ、私の連絡先、は」
「……いい。急いでる」
携帯をだそうとわたわたしている私に、
それだけをいうとその人は去って行ってしまった。
渡された名刺を見る。
“篠原拓篤 Takuma Shinohara”
会社名とともにそう、書いてあった。
その夜。
名刺を片手に悩んでた。
……なんて電話したらいいだろう。
猫に会いたいから。
それでいいんだよね。
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