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中に入るとあの日の猫が元気に篠原さんの足にすり寄った。
「ほんとに元気になったんだ……」
猫はずっと、篠原さんの足にまとわりついている。
よっぽど気に入られているみたいだ。
「あ、これ。よかったら」
「……」
無言で、差し出したケーキの箱を篠原さんは受け取った。
……あ。もしかして、甘いもの嫌いとか?
だったらどうしよう。
「……座ってて」
いわれた通り床に座り、
物珍しそうに寄ってきた猫と遊びながら、
キッチンへ行った篠原さんの様子をうかがう。
そのうちいい匂いがしてきて
コーヒーを淹れてるんだってわかった。
「……」
目の前に置かれたのは、
コーヒーとお皿に載せられた、買ってきたケーキ。
フォークを握ると篠原さんは黙々と食べ始めた。
……これはコーヒーをだしてくれたということで、
いいのかな。
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