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第2章 落ちこぼれ術師
「--いいか?精霊術は精霊と交友を交わすことで初めて使用できるようになる。ここにいるお前たちは全員、契約の証である紋章を持っているから大丈夫であろうがな」
教卓の上で教師が教鞭を振るう。僕はそれを必死にノートに写す。まあさすがにこれは既知のことだから写す必要はないのだが。
「精霊には各種属性がある。下位4属性、火、水、風、土に上位2属性闇、光だ。上位2属性を持つ精霊は稀だがな」
周りの生徒は不真面目にあくびをしていたり、眠ったりしている。真面目に受けているのは僕を含めわずが5名。この辺の内容は仕方ないだろうけど。
「精霊から力を借りることで私たちは魔法を使えるようになる。いや、違うな。精霊が私たちの代わりに魔法を使ってくれるのだ。我々はその力の恩恵を受けているに過ぎない」
その言葉に僕は右手の刻印に目を落とす。火属性の精霊と契約を交わした際についた刻印を。
「精霊には階級がある。下位、中位、上位だ。ここにいる皆はほとんどが下位の精霊だが少数ながら中位と契約した者が、さらに2名ほど上位の精霊と契約した者がいる。これは例年にないことで我々教師陣も非常に驚いている」
それを聞いた生徒が皆一気に顔をあげる。僕も唖然とした。上位と契約できるのは下位や中位の精霊と深く交友を交わした人だけだからわずか15歳で契約できる人はほとんどいない。
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