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「うわっ……さつき、本当に此処で1人暮らしするの?」
目の前にはボロボロの平屋。
そして隣には完全に引いている親友の小春。
「まぁ、少し古い建物だけど、
タダだよタダ!家賃払わなくていいんだよ?」
そこは、親戚のおじさんが人に貸していた一軒家。
けど、ここ数年入居者はおらず、
ついに今年、解体する事になっていたところを懇願して3年間タダで貸してもらう事になった。
「タダって……むしろお金を貰わなきゃ住みたくないくらいだけど……」
高校入学を機に、
実家から電車で3時間はかかるこの町であたしは1人暮らしを始める。
親友の小春と離ればなれになるのは少し寂しいけれど、
そんな事を言っている場合ではない。
なぜなら、あたしは今から超お金持ちの家の子とお付き合いをし、
そしてのちに結婚するからだ!
───鮫島理人(さめじま りひと)。
彼と出会って数分で、
自分の一生に関わるそんな大きな決断をした。
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