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「…僕の瞳が好きだと」 「僕がそう言ったの?」 驚きにどうしても目が見開いてしまう。 …いくら幼いといっても、あんな事があった後だというのに。 にわかには信じられない話だ。 あの後はろくに食事も喉を通らず、点滴で栄養を摂っていたし、夜も寝付けず睡眠薬に頼る生活を送っていた。 空っぽだった。 なのに。 「空より綺麗だって、言ってくれて__」 彼の声が震えている気がして目を移せば、 案の定、彼は泣いていた。 「どうして君が泣くの? ……僕の方が泣きたいよ」 ため息を吐いて、彼の涙を拭う。 __あれ、僕、 どうして触って… 温かい涙が僕の手に触れた。 「…ずっと好きだったんだ」 思わずその言葉に怯む。 身体が強張って ぎくりと胸が鳴った。 それでも止まらない涙をこぼしながら、荒野は僕を真っ直ぐに見つめた。 涙なんて全然気にしていないように、真っ直ぐに僕だけを。 「僕は君に強要しない。 押し付けないし、近づいたりもしない。 絶対、好きになったりしないから。 だから、君の婚約者でいさせて…」 「……」 彼はきっと、自分がどれだけ自己犠牲的な事を言っているのか分かっていないのだろう。
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