神様のダンジョン

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   現在、難易度の高い上層でも更に前線の58階層を攻略中の男女の2名がいる。  女性の方は軽装鎧(ハーフプレート)を身に纏い、銀髪のポニーテールを振るいながら青白い刃身の片手剣を両手で持ち、正面から向かってくる狼人間(ベオウルフ)の群れと1人で対峙している。    一方、男性の方は白と水色が入り混じった髪を激しく揺らし涙を堪えながら必死に追いかけてくる狼人間(ベオウルフ)から逃げ纏っていた…。 「こっちに来るなよ!?サラッ!早く敵意(ヘイト)取ってー!」  決して早くない足で素早さの高い狼人間(ベオウルフ)を相手に逃げ切るのは至難の業と判断したのか、息を切らしながらサラという片手剣の女性の名を呼ぶ。 「ちょっ、ピア!?何をやっているの!早く魔法を使いなさい!」  早く魔法を使えと逃げ纏っている男性の名を叫びながら応える。 「詠唱する時間がないんだよぉ!!」  必死に杖を振るいながら狼人間(ベオウルフ)の猛攻をなんとか凌いでいる為か魔法を行使する時間がないのだと、ピアと呼ばれた男性は答える。  情けないが、これはいつも通り。  必死な形相をして一匹を相手に杖をぶん回している彼の姿を見て、何体も同時に相手をしているサラは溜め息をつきながら魔法を無詠唱で唱えた。
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