16人が本棚に入れています
本棚に追加
く、苦しい。
死んだ時はこんなに苦しくなかったのに
あの世へ逝く時ってこんなに苦しいものなのかよ。
なんだよ、この細いトンネルは。体が引きちぎられそうだ。
息もできないほど狭いトンネルからようやく解放された。
瞬間、俺は「おぎゃあ」と叫んでいた。
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」
そういう声が聞こえた。
俺は誰かに抱えられ体を綺麗に洗われている。
そしてぼんやりとした視界にとても見覚えのある女性の顔が現れた。
俺の妻だ。
そして、横から嬉しそうに笑う男の顔。
俺の弟。
「よくがんばったな、麻美。はじめまして、パパだぞー。」
弟が言った。
クソじじい。中途半端な情けをかけやがって。
こんなのは地獄だろ。
マジ、かんべんしてくれ。
最初のコメントを投稿しよう!