田舎暮らし

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定年後Iターンしてきたこの田舎では、自然との共存について考えさせられる日々を過ごしている。 畑を耕したり、季節折々の楽しみかたや今しておかないと次の季節に困ることをご近所から教えてもらいながら、都会で麻痺していた生物としての本能が自分の中で少しずつ復活するのを感じている。 今もフラフラと午後の風に乗って飛んでいた羽虫をさっと燕がくわえて飛びさって行った。その燕だっていつカラスに襲われるか分からない。油断が死に直結する弱肉強食の自然の世界がここには存在する。 見飽きない外の世界を窓ガラス越しに、淹れたての珈琲片手に眺めていると何か違和感を感じた。 この視界のどこが原因なのか注意深く確認していくと、水が満々と溜められて田植えを待つばかりの目の前の田んぼに違和感の原因があることに気がついた。 先日の強風で飛んできたと思われるビニール袋やペットボトルなどのゴミが浮いてそれぞれに風に流されて同じ方向に向かう中で、白い人頭大の丸い物体だけが、風に逆らい逆方向に進んでいる。 慌てて野鳥観察用の双眼鏡を取り出してもう1度見たら、やはり白いものが1つ、広い田んぼを横断していた。 何処へ行くのか何の仲間なのか観察しようと倍率を 調整している隙に、そのまま向こう側の畦道に向かって進んで行き、窓からの視界の外に消えてしまった。
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