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不思議に思ったが、わざわざ田んぼの真ん中まで畦道を伝って調べに行くのも躊躇われたので、パソコンを立ち上げてネットで水中生物について調べて見たが結局分からないまま日が暮れてしまった。
翌朝、いつものようにカーテンを開けて雄大な山脈景色を眺めて田んぼに目を落とすと、今度は白い物体が二つ、各々自由に動いていた。そのうちのひとつが私の家側に向かって進んで来るのを見たとき、私の心は悪戯な子供の頃に戻ってしまった。慌てて物置から魚とり用のタモを取りだしすと外に飛び出していた。
敷地の横の農作業用トラック出入口から少し離れた場所にそれは居た。止まったかと思うとちょっと進んでまた向きを変えてと遊んでいるように見える動きをしていた。
タモの柄の長さを最長に伸ばすと、狙いを定めてさっと掬い上げた。恐る恐る網を顔に近づけると、発泡の食品トレーだった。円くて、よく弁当のどんぶり鉢に使われるもののようであった。
訳がわからず、掬い上げた跡を見ると、そこには大きなガマガエルがいた。
命を守る隠れ蓑を取られた彼は「ゲロ」と抗議の声を残して草むらに消えて行った。
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