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翌日、将太がそこを通ると、また昨日の少年がこちらを見ていた。その手にはあろうことか、昨日将太があげたお菓子の新品の包みが握られていたのである。
「なんだよ」
思わず呟いてしまった。
どうして同じ菓子をもっている。昨日の味を気に入って買ってみたのか、あるいはこの少年が自分を真似して万引きしてみたのか。いや、そもそも俺の帰る時間を待っていたというのか。
思うことがいくつかあったが、悪いことを隠蔽した仲である。将太は何も言わずに少年の横を通りすぎ、コンビニに入った。
今日は購入目的の品物がある。二日連続同じ店でやることはない。
目的の品である今日発売の雑誌を買った将太は外に出た。しかし、そこで目撃したのは信じられないものであった。同じ雑誌を手にした少年が何も言わず、将太のことをじっと見ていたのである。
いつの間に買ったというのだ。このコンビニで雑誌コーナーは一カ所、自分はそこに行きすぐに買って出てきたのである。
将太は自分を落ち着けるために、必死に頭の中を整理した。
いや、さっきからそのマンガを持っていたのだ。新発売のマンガを持って立っていた。ただそれだけの話である。それ以外あり得ないではないか。
自分に言い聞かせた将太は、そのままその場を立ち去った。
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