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翌日、将太は高校でそのマンガを読んでいた。授業の合間に読む新発売のマンガはまた格別である。
「将太、今日は部活ないんだろ? ゲーセン行こうぜ」
部活は違う同級生の友達が誘ってきた。
「ああ、行こうぜ」
迷うことなく即答した将太は、その日の放課後、駅ビルのゲーセンにいた。クレーンゲーム、格闘ゲーム、レースゲーム。友達と来ると、何をしていても楽しい。
多くのゲームに熱中し目を酷使した将太は、ふと遠くを見たくなり、向かいの百円ショップを眺めた。そこに飛び込んできたのは、じっとこちらを見る例の少年である。
「あっ」
思わず声を出すと、少年はにっこりと白い歯を見せて笑った。手にはその場にあったと思われる台所用品があった。
「おい、将太。どうしたんだよ」
「いや、今、向かいのコンビニで子どもが万引きしていた気がしてさ。いや、えっ、そこ」
「ん?」
友達に説明している途中、その友達の後ろに少年がいるのを将太は見た。
「なんだよ」
将太に指差された方を見ても、何もいない。
「いや、すまんすまん、なんでもない」
「ははははは、もう疲れたんかよ。いいや、マックでだべって帰ろうぜ」
将太はなんとも言えぬ心持ちでその場を後にした。
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