その老婆、侮りがたし。

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「理恵は、最近テニス部の部長になってやること増えたからね。でも、授業中は頑張って起きてて欲しいかな。」 「う…はい…。」 こいつは立花 優希(たちばな ゆうき)。理恵と同じく幼馴染。 180cmを超える高身長でスラリと長い足。どこの少女漫画だよってくらい整ったイケメンフェイス。死ね。おまけにお釈迦様のような優しさで校内女子から絶大な人気を誇る。死ね。 「死ね。」 「いきなりっ!?」 あぶねぇうっかり本心が出るとこだった。 そしてこの二人。恋仲である。 俺達が中学2年の時、優希から告白して付き合うことになった。 小学生のころから密かに相談を受けていた俺にとっては遅すぎる展開だったが、なんとなく腹いせに『早川、立花と付き合うってよ』と校内に噂を流してやった。 3日後くらいに『みんなの優希君でいての集い』とかかれたフラッグを持った集団と先生軍団との一触即発な校庭を鼻歌交じりに歩いたのはいい思い出だ。 ちなみに理恵もその容姿や明るい性格から、『RWSH?:理恵ちゃんが笑えば世界は平和になるんじゃない?の会』という非公式ファンクラブが存在したが、特に大きな騒動は起こさなかった。 なんでも、『あいつら付き合ってるってよ』情報を耳にしたファンクラブ会長が自殺未遂をしたとかしなかったとか。 その際に会長が言った「…ほら見てごらん、あの理恵ちゃんの笑顔を。あんなに幸せそうなのだから、もう僕らは必要ない、世界は平和になったのだからああああああうへへひゃあひゃひゃひゃひゃひゃ…!」 との言葉を受け、惜しまれつつもRWSHは解散したのだそうだ。
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