その老婆、侮りがたし。

4/9
前へ
/63ページ
次へ
まったくもって迷惑な話である。 おかげで数日にわたって授業はほぼ自習になり、俺は苦渋の決断をもって学校へノートパソコンを持ち込み、昼間からMMORPGをやりつくすなんて暴挙に出てしまったのだ。 そんなこの俺は『藤崎 崇(ふじさき たかし)』。 誠に遺憾ではあるが、このイケメン&美少女の幼馴染で物心ついた頃から一緒である。 身長173cm中肉中背、平凡フェイスで趣味はゲーム。主にMMORPGとFPSに愛と情熱を費し、情報収集としてアニメも嗜むいたって普通の高校2年生だ。 ちなみに厨二病は優希と理恵が付き合った頃を境に突如消え去った。 別に羨ましかったとかそんな三次元に恋する年じゃないしそもそも三次元とかカスですしビッチばっかりですし全然全く羨ましくなんか、ない。 「で、どうするこのあとー。」 「うーん…もうテストも終わったし来週から夏休みだから、3人で旅行でもと思ってたんだよね。」 いや、旅行ならお前ら二人でいけよ。恋人だろ。 「だからさ、このあと崇の部屋で計画立てようよ。ね?」 そしてこの完璧スマイルである。 もう街ゆくおばちゃんとかおじちゃんとかが顔赤らめて電柱にぶつかったり犬を踏んづけて追われてるじゃないの。もはや公害スマイル。 あと後ろ見てみ。理恵が般若みたいな顔で睨んでるから俺を。 え?なんで俺なの?俺何も言ってないしね?なにこれ俺のせいなの?爆発しようか? 「いや、お前ら付き合ってるんだから二人で行けよ。泊まりとかでさ。」 理恵さん、顔を真赤にしてあたふたしながら電柱に体当たりするのやめなさい。 電柱さんに迷惑でしょ。 「うん、二人きりでも行くよ。もちろん。その話もこのあとしようと思って。」 あーはい、わかりました。わかっちゃいました、自慢ですねハイハイお前が爆発しろ。 ハイそこ。鼻血垂らしながら壁に16連頭突きしないように。 電柱さんヒビ入ってるからね。ちゃんと謝るのはいい事だけれども。本当に出来たお嬢さんだこと。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加