第1章

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さっぱりわかんない?新手の詐欺?今の平和な世の中にアニメみたいな世界侵略でも起こっているわけ?大の大人が。 「何に?」 説明もなく採用というわ、失礼しちゃう。 「芝川生物工業はしっているだろうか?」 芝川生物工業って新聞にDNA改造で問題になった会社だ。生物と工業が並んでいる、いかにもうさん臭い会社だ。生物を兵器化して自衛隊に売り込もうとしている会社だわ。それがなんなの? 「職務につくから守秘義務があるぞ!他言無用だ!ここだけの話だ!」 ちょっとまってよ!私の職業選択の自由はいずこ? 「芝川生物工業は多くの生物地雷を開発した。生物地雷とはDNA改造された生物が無差別に狩りによって捕食するのだ。」 「今・・・なんて?」 私と社長と思われる老人とのやりとりとなった。生物兵器なんて聞いたことないし、大体、聞いた感じがグロそう。こんなのってありかしら? 「狩りだ。食物連鎖の頂点を人間の上に作るのだ。」 「そんな無茶な!」 それぐらい私だってわかる。そんなことすれば人間の地位が脅かされる。 「ところがそんな開発が受け入れられるはずもなく、不採用になった。そこの社長がやけくそでそれを解き放った。」 「逮捕ものですね。」 「しかし、あり得ない話ではない。特定外来種を飼いきれないといって川や池に放ち、自然の生態系を破壊する話は、君も聞いているだろう?DNA改造された生物兵器が自然界に放たれたのだ。社長は逮捕された。世界的な危機に比べれば、そんなことどうでもいいことだった。その事で破滅的な状況が始まった。解き放った怪物どもはこの人間社会に拡散したのだ。」 「まってくださいよ!それじゃ、それが今、そこにいるかも、ってことですか?」 「その通りだ!政府はこの事態を深刻に捉え、ボアバスターズを編成した。」 「そもそもボアって何ですか?」 「もともとは漫画なんかで出てくる架空の丸呑み生物らしい。人を呑みこむ・・・」 信じられない。人を丸呑みするって言ったよね。 「まさか・・・人を食べちゃうのですか?」 「ああ。呑みこんで中で消化してしまう。そして増殖する。兵器なので食欲、消化能力、増殖力を高めたものだ。狩りによるので音もなく接近して、ターゲットを捕食する。」 この世の事とは思わなかった。ぞぞっとした。この手の類いは昔から嫌いなのよ。 「もしかしたら、蛇とか・・・」
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