第1章

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第1章

就職 わたしは狩谷七海。都内でフリーターをやってます。年齢は秘密!でも若いんですよ! “急募!日当5万円!正社員登用制度有り!豪華住宅付き” のお仕事情報誌を握り締め、都内のボア 駆除株式会社という会社を探しに来ました。日当5万円だって。そんなのありかしら。宿舎は良く聞くけど、住宅付きなんて厚待遇を聞いたこともない。とってもいい会社なんだろな。契約社員の面接といっても、面接では黒のスーツでびしっと決めないと! 中央線吉祥寺駅地下鉄徒歩・・・9分!なんて辺鄙なところにあるの?こんな高給な会社にしてはとても場所が悪いわね。だいたい、ここって雑居ビルばっかりでそびえ立つ、白亜の巨塔なんてイメージないわ。 「面接前に力尽きそう・・・」 だいぶ歩いた。そろそろ、かな。このあたりのハズだけど・・・。甲州街道をキョロキョロ見回しても立派な本社ビルなど見当たらない。やっぱり雑居ビルしかない。 ビルの前で掃除をしているご老人にでも聞くか! 「すみません。このあたりに森田ビルってご存知ありません?」 「あ、ああ?」 聞こえないようなので、もう一回大声で話す。 「も・り・た!森田ビルです!」 老人はようやく聞こえたようだ。 「ああ、森田ビルね・・・それならそこ・・・」 老人の指先を追った。 えっ? イメージとは程遠かった。7階建ての長細い古ぼけた雑居ビルだ。 (だまされた~!!) 住宅付きなんて聞いたこともない。あまりに厚遇すぎるからおかしいよね。風俗でも売り飛ばされないかしら。やめようかな。でも厚労省指定というのが本当なら、会社がこんなにみすぼらしいわけないよね。やめようかな・・・と思っていると 「なに?ここに用?」 後ろから若い男性が声をかけてきた。ここの社員かな。いい感じのルックスをしている。ジーンズにTシャツのラフな服装がまたワイルドっぽい。 「君、今日、面接の人だよね。人が訪ねてくるのは、採用の時だけなんだ・・・案内するよ。」 ええっ?採用しか人が来ないってどういうこと?業務するなら人の出入りは当然でしょ?なんなの、この会社は一体。 引っ張られるように小さなエレベーターに押し込まれてしまった。エレバーターを降りると、指定の5階受付の前に来た。カウンターがあって受付にメガネをかけた老人のような初老の男性がいる。どこか頼りなく着古したカッターシャツに黒のカバーを両腕につけていた。役場の職員みたいだ。
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