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何とも言えない心地よさが、脳内を駆け巡る。陽子は夢心地で、気が付けば何度も琉奈を欲していた。気分は夢でも、これは夢ではない。現実なのだ。陽子は今、幸せの絶頂にいた。自然とまぶたも閉じていた。幸せすぎる。もうずっと、こうしていたい。このまま時が止まってしまえばいいのに。
「……ふふ。かわいい、陽子」
唇を離して自分を見つめてくる琉奈を、ぼんやりとした意識の中で辛うじて認識できる。もう他に何も見えない。目の前の少女しか見えなかった。
「ねぇ……琉奈……」
「なぁに? 陽子」
「好き」
首に手を回して、陽子は琉奈の耳元で囁いた。
「……あは。やっと言ってくれた……。うん、私も。陽子が好き。陽子が欲しい。陽子を、私だけのものにしたい」
彼女もまた、陽子の身体を優しく抱き、囁き返す。そしてどちらからともなく顔を近付け、再び接吻を交わす。
琉奈の舌が、口の中に進入してくる。陽子はそれを何の抵抗もなく受け入れた。自分の口内で乱れる琉奈の激しいキスに、陽子は夢中になっていた。
落ち着いたら、顔を離す。そしてまた愛おしくなって、互いの唇を求め合う。しばらくの間そうしていた。ずっと、そうしていた。
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