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夢かと思った。だって、何度夢に見たことか。その度に、恥ずかしさのあまり飛び起きる。そんな朝が今までに数え切れないほど思い当たる。
「はふ……んっ」
「んんっ……」
時間にして数十秒、ねぶるようにたっぷりと堪能され、ようやく離してくれた。一筋の唾液が二人の唇を繋いでいた。
「はぁ……はぁ……」
「……ふふ。陽子とキスしちゃった」
ぺろりと湿った唇を舐めて、琉奈は嬉しそうに微笑んだ。一方、陽子は放心状態だ。
「あ……わ、私……琉奈と……」
「ふふ。ごちそうさま、陽子」
「え、あ、えっと、お、お粗末さまでした……じゃなくて!」
「ん? なぁに?」
「な、な、な……なんてことをしてくれるの! わ、私の……ファ、ファーストキスだったのに……」
「イヤだったの?」
「そうじゃなくて!」
嫌なものか。ものすごい嬉しい。嬉しいけどびっくりした。困惑もした。そんな様々な感情が混じり合って、上手く表現できないのだ。
「あ……う、あうあうあ」
「慌ててる陽子もかわいいっ。……んっ」
「んっ……!」
またしても不意打ちに唇を奪われる。一回目のすぐ後というのもあってか、さほど驚きはしなかった。二回目は、惚けられる余裕すらあった。
「んぅ……んっ」
「はっ……ふぅ……」
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