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陽子は恥ずかしさのあまり、立ち上がって琉奈に背を向けた。
「ふふ。欲求不満なんだね」
「あんたが変なこと言うから」
「否定はしないんだね」
また口を開くと、何を言われるか分からない。陽子はだんまりで押し通した。その手を、琉奈が握る。
「帰ろっ、陽子」
「……うん」
夕暮れに染まりきった教室を、陽子と琉奈は手を繋いであとにした。
昇降口まで続く長い渡り廊下に、二人の少女の楽しそうな声が響き渡る。
「ねぇ、琉奈」
「なぁに?」
「私たちって……もう、その、付き合ってるってことになるの……?」
「え? いまさら? あたりまえじゃんー」
「だって……告白とかしてないから……」
「じゃ、今する?」
「え?」
「好き。私と付き合って?」
「っ……」
「返事は?」
「……うん、私も大好き」
「かわいいっ!」
「ちょ、ちょっ! 抱きつかないでよ!」
「陽子、ずっと大好きだよっ!」
―――★おしまい☆―――
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