86人が本棚に入れています
本棚に追加
「だいたいさぁ」
スマホを没収され、否応なしに彼女の相談に乗るかたちになる。節介を焼いてしまう自分のこういう甘さが、琉奈をこんな我が儘な性格にしてしまったのかもしれない。
しかし言い訳をするつもりはないが、しおらしくしている琉奈を見ると、どうしてもほうっておけなくなる。それが陽子という人間性なのだ。
「どうしてそこまで、好きなの? あの人……実梨センパイだっけ? 別にスポーツがすごいとか勉強ができるとか、そういった噂は聞かないわよ?」
「いや、あのね? ここだけの話ね……」
「うん」
声量を下げ、神妙なおもむきでゆっくりと顔を近付けてくる琉奈に、陽子は少しどぎまぎした。
「ちょ、ちょっと……顔近」
「従姉なの」
「へ?」
「そう。先パイは、私の従姉なの」
「へー、イトコ? ……へぇ、あらそう」
「ちっちゃい頃から面倒を見てくれて、慕ってたの。先パイのことは誰よりもよく知ってるのよ」
「……ならさっさと告ればいいのに」
「それができたら苦労しない!」
「そりゃごもっとも」
最初のコメントを投稿しよう!