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スラリと高い長身にピッタリとしたダークグレーのスーツから浮き彫りになる引き締まった身体。 奥二重の形のいい目と鼻筋の通った柔和な顔立ちに無造作に流された黒髪がまだまだ若さを感じさせる。 今も昔も変わっていないその纏う空気。 いや…、 最後に見た彼より数段大人になって周りの女の子たちを魅了してる。 なんで……、今更。 そんな彼を見て胸がズキリと軋むのはきっと気のせい。 無意識に奪われる視線も、反応する思考も、汗ばむ手も、ドクドクと脈打つこの音さえも、ぜんぶぜんぶ、 気のせいなんだ、と固く目を閉じた。
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