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「うげぇ、予習プリントとかいらないよ先生」
「遠慮すんな」
「するよ！」
「センセ、これ隣のクラスの。」
「おお、悪い。」
こないだのこともあってか既に打ち解けている男子たちとの前列でのやり取りを聞き流しつつ、私は俊輔が説明した需要ポイントをノートに書き留めていた。
ほんと、黒板の使い方もだけど教え方も上手い。
昔も算数や理科を教えてくれたことがあったけど上手かったっけ。
思い出した記憶の一部が甦って、なんにも感じていなかったところにストンと落ちてくるから急に俊輔を身近に感じて意識しだす。
これじゃいけないってわかってるのに、コントロール出来ない記憶も感情も私を落ち着かなくさせた。
ちらりと俊輔を盗み見れば、前列の男子と談笑していて、私の存在なんてたくさんいる生徒のうちの一人なんだと暗に言われてるようだった。
当たり前に教師として接してるその様に、私も冷静になる。
気にしなければいい。
意識しないで、自然に、普通に、生徒として。
うん、それだけのことなんだ。
意味もなくカチカチと磨り減ったシャーペンの芯を出しては机で押し戻し、私はノートを閉じた。
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