序章

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彼は運命が『彼』のために用意した、いけにえの分身なのだ。 『彼』が焼かれずにすんだのは、彼という、もう一人の『彼』が、『彼』の負うはずだった傷を、かわって受けたからに他ならない。 彼の犠牲によって、『彼』のカルマは救われたのだ。 彼は『彼』。 そして『彼』は彼。 彼らは一人の人間の光と影。 だから、彼は思う。 『彼』は彼のものだ。 彼には『彼』の人生を生きる権利がある。 二人は今一度、一つにならなければならない。
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