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「えっ。
でかしたわ、ありがとうっ」
だが、顔を扇で隠し、階から下りようとした成子の腕を誰かか掴んだ。
「斎王様、ズルはなしです」
真鍋だった。
「ええっ」
真鍋は床を、どんっ、と踏んで、怨霊をも威圧する。
「悪霊、斎王様に手を貸すな」
「あんた、なんでそんなに本気なの?」
「……景品がかかってるからですかねえ」
と命婦が呟く。
ともあれ、貝合わせならぬ貝探しは盛況のうちに終わった。
道雅、下働きの者、真鍋が多く貝を手に入れたが、僅差で、真鍋が勝った。
「本気の度合いが違ったものね」
と言うと、命婦が、
「道雅殿のは、自分が取られた分だけではないのですよ」
と言う。
「えっ。
なんで?」
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